(※「柴犬におすすめのおやつ」で取り上げて以来、おきみちゃんの中でパンケーキブームらしいです)
柴犬のエサ選びと食生活は難しい!
アレルギーや皮膚トラブルを起こしやすい
おきみちゃんが「ニキビできてしまった~」と嘆いているように、柴犬は皮膚のトラブルが多めな犬種です。また、アレルギーを起こしやすい体質でもあり、特にアトピー性皮膚炎に悩んでいる柴犬は多いです。
ペットとしての柴犬の生活環境や食生活も、昔と比べて大きく変わっています。柴犬のアレルギーの原因となる物質としては、人工の食品添加物や、大豆や小麦やトウモロコシなどの穀物が挙げられます。最近、「無添加ドッグフード」や「グルテンフリー・グレインフリー」の製品が広まている理由がなんとなくわかりますよね。
柴犬は太りやすい犬種
冒頭でおきみちゃんが嘆いていたように、色々な犬種の中で柴犬は比較的太りやすい部類に入ります。たしかに、洋犬は「シュっとして」いて筋肉質なイメージがありますが、柴ぬはどちらかというと「モチっと」していてもふもふしているイメージがありますよね。
「現代の日本人の最大の死因は生活習慣病」といわれています。柴犬も同じように、肥満気味で運動不足のままでいると、さまざまな病気のリスクが高まってしまいます。病気を予防して長く健康でいるためには、犬も人間もお互いに食生活には気を付けたいところです。
エサの好き嫌いが多く、わがまま
飼い主に忠実な性格の柴犬ですが、その反面、周りに左右されたくない独立心が強く、わがままな部分もあります。そのため、せっかくエサを準備しても、自分の気分が乗らなかったら見向きもしません。知り合いのメスの柴犬は、お腹がすいているのに、ごはんを食べるのを拒否しておやつを欲しがってくることが多いです。
色々なサイトの情報を見て、栄養なども考えながら時間をかけてドッグフードを選んでも、柴犬が選り好みして食べてくれなかったら何の栄養にもなりません。とにかく、柴犬の健康を考えながら食生活をコントロールするのは、一筋縄ではいかないようです。
※1 おやつに適量のニンジンを食べても、ワンちゃんの体には大きな問題はありません。しかし、ニンジンの大部分はワンちゃんが消化できない繊維質であり、過剰摂取すると消化不良を起こすこともあります。
※2 納豆をフリーズドライにしたワンちゃん用のおやつがあります。気になる方は、「柴犬におすすめのおやつ」記事をご覧ください!
柴犬が注意すべき病気と食生活
柴犬の寿命は15歳前後であり、6歳以上がシニア犬、11歳以上が高齢犬であるといわれています。(犬のライフステージの分け方や人間の年齢への換算については、様々な説があります。)年齢を重ねるに伴って身体の機能に様々な変化が起き、長年の生活習慣がさまざまな形で表れていきます。
ここでは、柴犬が特に注意すべき生活習慣病に見ていきましょう。
日本犬は認知症の発症率が高い
高齢犬のライフステージに入ると、認知症の症状が現れることがあります。犬の病気に関する研究では、柴犬を含めた日本犬や日本犬の血をもつミックス犬は、認知症の発症率が高いといわれています。
認知症に当てはまる症状としては、
- 今までできていたしつけが、だんだんできなくなってきた
- 力ない声で吠えることが多くなった
- 睡眠時間と活動時間が乱れてきた
- 散歩などの活動に対して億劫そうにしている
などが挙げられます。
ワンちゃんの脳の老化を予防するには、人や他の犬とのふれあいの時間を意識的に作ったり、日々のお散歩のコースを変えてみるなど、外の広い世界の刺激を適度に与えてあげることが大切です。
もちろん、バランスのとれた食生活も必要です。認知症の予防には、植物性脂肪である「オメガ三脂肪酸」が効果的であるといわれています。
高血圧は心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)のリスク
高齢犬になると認知症の可能性が高まると述べましたが、心臓病は、高齢犬より一回り若いのシニア犬のステージから発症する可能性が十分高くなります。
柴犬の心臓病の多くは僧帽弁閉鎖不全症であり、血液の逆流を防ぐ心臓の僧帽弁が完全に閉じなくなり、全身に十分な血液を供給できなくなります。不整脈や血流の減少による毛や皮膚の変化、息切れがおもな症状です。
僧帽弁閉鎖不全は完治させることができず、薬によって症状の緩和を行うという治療がメインです。心臓病の予防には、塩分や肥満による高血圧を防ぎ、心臓への負担がかからないようにすることが必要です。
細胞のストレスの蓄積で白内障に
人間同様に、ワンちゃんも加齢とともに白内障を発症します。物によくぶつかるようになったり、エサの場所の遠近感がつかめていない様子が目立ったら、白内障を含む目のトラブルを疑う必要があります。
白内障は、眼球の組織である水晶体が白く濁る症状のことです。細胞の酸化の蓄積が主な原因とされているので、抗酸化作用のあるビタミンの摂取が欠かせません。
肥満は、糖尿病や心臓病のリスクを高める
人間に限らず、肥満気味の柴犬は糖尿病や心臓病の発症率が高くなります。
「犬も糖尿病に?」と思うかもしれませんが、糖をエネルギー源に変えるインスリンの働きが弱くなると、ワンちゃんの内臓疾患(肝臓疾患、腎臓失火)や視力低下などの合併症を引き起こします。
肥満は高血圧とも関係があり、心臓のポンプ機能への負担を大きくしてしまいます。ワンちゃんも私たちも、日々の食生活と運動のバランスを取るようにしたいものです。
栄養素を考えたドッグフード選びのポイント
カロリーのメインはたんぱく質で
三大栄養素として、「たんぱく質(P)」「脂質(F)」「炭水化物(C)」があります。これらはどれも体内のエネルギー源となり、必要なカロリーをとりつつ太らないようにするためには「PFCバランス」が重要であるといわれています。
人間のカロリーの大半が、米やパンなどの炭水化物によって賄われていますが、肉食である犬は、たんぱく質をメインに摂取する必要ががります。犬の消化器官は食物繊維などを多く含む炭水化物を消化することが苦手なので、日々のエネルギー源はたんぱく質がメインとなります。
また、動物の毛の主成分はたんぱく質なので、ダブルコートの柴犬が夏毛から冬毛から変わる頃はなおさらたんぱく質が欠かせません。
ワンちゃんが不足しがちな必須アミノ酸
たんぱく質が体内で分解されるとアミノ酸となります。犬は体内でアミノ酸を合成することができず、筋肉の維持や換毛に必須なアミノ酸が不足してしまうといけません。
主食にするドッグフードを選ぶ際は、たんぱく質の表示項目の中にどんなアミノ酸が含まれているのか重要になります。
特に柴犬の換毛の時期や毛のツヤが少ないと感じたときは、シスチンやメチオニンが必要になります。
量よりも質を重視したい脂質
「脂質は太る原因」と思われがちですが、皮膚や細胞を作る上で不可欠な成分です。それでも、脂質は同じ量のたんぱく質の2倍以上のカロリーがあるので、必要以上に摂取してしまうとあっという間にカロリーオーバーになります。
認知症や肌ツヤ、毛並みをよくするためには、先ほど紹介したオメガ三脂肪酸が効果的です。DHAやEPAといったオメガ三脂肪酸は魚に多く含まれており、認知症予防以外にも、皮膚の調子を整えたり毛並みを艶やかにする効果も期待できます。
柴犬にも不可欠なビタミン
ビタミンCやビタミンEには抗酸化作用があり、白内障や老化の原因となる細胞の酸化ストレスを軽減することができます。
ビタミンCは、主にサツマイモやかんきつ類から摂取できます。ただ、ワンちゃんにみかんを与えると繊維質によって下痢を起こす子もいます。ビタミンEは、サツマイモやカボチャ、卵や野菜に多く含まれています。
ドッグフードでビタミンが取れているか心配な人は、さつまいもフリーズドライや手作りおやつでビタミンを補ってあげましょう、きっと柴も喜びますよ!
ライフステージ別、柴犬の食生活の変化
生後~子犬期
それぞれのワンちゃんの成長具合にもよりますが、一般に子犬期は生後8か月以内とされています。この時期はとにかく体の成長にたくさんたんぱく質やカルシウムが必要になります。肥満を防ぐよりも、栄養不足にさせないようにすることが大切になる時期です。
けれども、子犬期の柴犬は消化機能がまだ不完全。引き取った時の環境変化とも相まって、下痢や嘔吐を引き起こしやすい時期です。いくら栄養が必要だからといってたくさん与えすぎると、下痢や嘔吐でかえって消化吸収されず、脱水症状を引き起こしてしまいます。
ドッグフードをお湯で少し戻して食べさせやすくしてあげる工夫や、食事の回数を小分けにすることが必要になります。ドッグフードに書かれている用量と日々の活動量を考えつつ、1日4~5回程度にわけてエサを与えてあげましょう。
成犬期
成犬期のスタートは、8か月前後に訪れる歯の生え代わりの時期とされています。
成犬期になるにつれてエサの回数を減らしていき、1日2~3回の頻度が理想です。長期的な健康も考えて、普段のドッグフードでは不足しがちな栄養をおやつから意識的に摂取するのも必要です。
ドッグフードの用法通りに食べていても、室内飼いで運動不足な柴犬はカロリーオーバーになってしまう可能性もあります。とてもアクティブでエネルギーが溢れる時期なので、しっかりお散歩や運動の機会を作ってあげて下さいね。
シニア期
少しずつ、日中の活動量や代謝が落ちてくる時期。成犬期と変わらない食生活をつづけていると、確実にカロリーオーバーとなってしまうので気を付けましょう。今のエサの量が果たして適正なのか、週一回くらい、一緒に体重計にのって体重を測って確かめてみるのもいいと思います。
消化不良を起こしやすくなる時期でもあるので、子犬期同様の消化しやすい工夫が必要になります。口臭や体臭、排泄物のニオイなどに大きな変化がないか日々チェックしてあげて下さいね。
まとめ
ここ十年ほどの間で、室内飼いの増加によってペット生活環境も変わり、それによって最適な食生活も変わってきました。これまでは「とりあえずドッグフードか、残り物を適当に食べさせていれば大丈夫」という認識が一般的でしたが、「ワンちゃんには、ワンちゃんにとっていいものを食べるべき」という認識が徐々に広まっています。
犬の健康や成分、ドッグフードに関しては様々な情報があり、何が正解なのか見極めるのはなかなか難しいです。冒頭で「柴犬は食べ物を選り好みする」と書きましたが、やっぱりワンちゃんがおいしいと感じるものをぺろぺろ食べて欲しいという気持ちもあります。
世の中の柴犬は、おきみや伝助のように自分からしゃべることはできませんが、日々のコミュニケーションを通して、エサに満足していそうか、エサをおいしそうに食べているかを見てあげて下さいね。
それでは、またお会いしましょう!