犬の白内障の初期症状,予防法は?サプリや目薬の効果も調査

犬の白内障の症状

白内障は、犬が発症する眼病の大半を占めます。加齢などによって、目の中の「水晶体(レンズの役目を果たす)」という組織が白く濁る症状が白内障であり、視力の悪化を引き起こします。水晶体が白く濁る正体は、たんぱく質の変成と言われています。

白内障による視力低下はそれほど急激ではありませんが、治療せずそのままにしておくと失明の恐れもある病気です。

また、水晶体成分が他の組織に漏れだすことによる「ブドウ糖膜炎」や、眼圧の上昇で失明の危険性が高まる「緑内障」、「水晶体脱臼」といった激しい眼痛を伴う症状も併発する恐れもあります。

愛犬の白内障、初期症状のチェック方法

ワンちゃんの白内障の初期症状の多くは、視力低下による行動やしぐさの変化によって現れます。以下のような視力低下の兆候に当てはまる場合は、白 内障の可能性が疑われるので早期に動物病院に連れて行ってあげて下さい。

  • 物や壁によくぶつかるようになった
  • 散歩中や家の中でつまずくようになった
  • 壁伝いに歩くようになった
  • 視界がはっきりしない不安とストレスから、攻撃的になった
  • 突然の物音に驚くようになった
  • まぶしい光を嫌がるようになった(光をまぶしく感じるのも、白内障の症状の一つ)

視力の低下による症状は、明るい場所よりも暗い場所ではっきり表れることが多いです。

白内障が進行すると、犬の瞳が濁っているのが目視で確認出来るようになります。獣医師でない限り、白内障の初期段階のワンちゃんの目を見ただけで異変を発見することはできませんが、普段のふれあいの際は、ワンちゃんの目の状態、目やにの有無を意識的に見てあげることが大切です。

愛犬の白内障が疑われる時の対処

動物病院へ早期受診を

白内障は進行を遅らせることはできても、一度進んだ症状は治療できない病気です。犬の鋭い嗅覚と聴覚で多少の視力低下もカバーできるので、白内障の早期発見ができれば生活への支障を最小限に抑えることができます。

白内障の発見が遅れて手術が必要になると、治療費も高額になります。片目の白内障を手術する際、手術や入院を含めた治療費は30万円前後になるケースが多いです。

動物病院での検査内容、診療費

白内障の疑いで動物病院に行く場合は、犬の目の病気に関するひと通りの検査を受けることになります。

主な検査内容は、眼底検査、眼圧検査、超音波検査、神経検査、角膜検査、涙量検査で、1万5千円から2万円程度を見積もっておく必要があります。(※動物病院によって診察内容、検査項目、費用が異なる場合があります。詳しくは、かかりつけの動物病院にお問い合わせください)

視力が低下したワンちゃんへのケア

視力低下で部屋の中にある物にぶつかることがないよう、ワンちゃんの行動範囲は整理整頓するように心がけましょう。物の角や尖った部分などでケガをしないような対策も必要です。

犬はとても賢く、部屋の配置や散歩のコースを覚えているので、家財の配置や散歩のコースはできるだけ変えない方がいいと言われています。

視力が下がり周りが見えにくくなることは、ワンちゃんのストレスや不安を引き起こします。やさしい声で接するように心掛け、突然の大きな音は立てないようにしてあげてください。

犬の白内障の治療方法

軽度・初期の白内障の治療法

人間も犬も同様に、一度進行してしまった白内障は元の状態に戻すことはできません。できるのは、症状の進行を抑えて、現在の視力の状態を保つことです。

眼球の中のレンズである水晶体が白く濁ってしまうのは、たんぱく質組織の変成が起こってしまうから。たんぱく質でできている生卵に熱を加えてゆで卵にすることはできても、ゆで卵を冷やして生卵に戻すことができないという現象を思い起こすと分かりやすいと思います。

軽度の白内障が見つかった場合は体の負担になる手術は無理に行わず、内服薬や目薬によって白内障の進行を遅らせていくという治療がなされることが多いです。

重度の白内障は手術に

白内障が進行して視力が大きく低下してしまった場合は、ワンちゃんの眼球に人工レンズを入れる手術を行います。

犬の水晶体は人間の水晶体よりも頑丈で、専用の医療機器で水晶体を粉砕して吸い取り、人工レンズを入れるという処置が行われます。手術は全身麻酔をかけて行われ、犬の体への負担が大きいです。

犬の白内障の手術費用と入院期間

動物病院で犬の白内障の手術を行う場合、手術そのものの費用は片目あたり25万円を超えます

手術前に2日程度、手術後に5日程度の入院が必要で、合計すると1週間ほどの入院になります。入院の費用も含めると、白内障の手術に伴う治療費は片目だけ治療でも30万円を超える金額になります

退院後は、目の保護と行動の制限のために2週間ほどエリザベスカラーをつけて過ごすことになります。また、1か月ほど内服薬を服用する必要があります。

犬の白内障の原因

原因の大半が加齢

犬の白内障の原因の大半を占めるのが加齢による要因です。人間でも、80歳を超えている人は程度の差こそあれ、ほとんどの人が白内障を発症していると言われています。

白内障を発症しやすい年齢について

犬が6歳以前に発生する白内障は「若年性白内障」、6歳以降に発生する白内障は「老年性白内障」と分けられます。6歳を超えたワンちゃんを飼っているご家庭は、白内障への警戒や予防を考え始めるべき時期だといえます。

成犬以降のライフステージには「シニア期」や「高齢期」があり、小型犬も大型犬も6歳前後でシニア期に移行します。シニア期に達したワンちゃんは、日々の体の変化や目の見え方の変化を注意深く見守ってあげたいところです。10歳を超えると、より一層の白内障への注意が必要です。

細胞の老化、酸化ストレス

ワンちゃんがシニア期に入ると、細胞の老化も顕著になります。水晶体のたんぱく質が変成して白濁する原因の一つは、細胞の老化にあると言われています。

食生活や日常でのストレスで活性酸素が発生し、細胞は酸化ストレスにさらされます。細胞の酸化ストレスが蓄積すると、遺伝子のコピーにエラーが起こり、細胞の機能の異常やがん化が起こってしまうのです。

紫外線

紫外線には細胞の遺伝子を壊してしまうほど強力で、細胞に酸化ストレスを引き起こしてしまいます。必要以上の紫外線を浴びることは、白内障の発生確率が上がる原因になります。

遺伝的要因で白内障になりやすい犬種

ワンちゃんが若いうちに発生する白内障の多くは、先天的な遺伝的要因が多くを占めています。

また、遺伝的要因から、白内障を発症しやすい犬種が存在します。遺伝的要因による白内障を発症しやすい主な犬種は、以下の通りです。

  • プードル
  • 柴犬
  • シベリアンハスキー
  • マルチーズ
  • ゴールデンレトリバー
  • ビーグル

糖尿病などの合併症として

白内障は、他の病気の合併症として発症することもあります。糖尿病は有名ですが、そのほかにも低カルシウム血症ブドウ糖膜炎が白内障の原因となることもあります。

眼球へのダメージ、目を掻くことによる傷

外で遊んでいて枝が目に刺さるなど、眼球への外的ダメージが白内障の原因になることもあります。

アトピー性皮膚炎で目の周りを頻繁に掻くことでも目が傷つくので、白内障の遠因になることもあるといわれています。

犬の白内障の予防法

白内障の原因は、細胞の老化や酸化ストレスにあると説明しました。白内障を予防するには、細胞の老化や酸化をできるだけ防いでいくというアプローチになります。

白内障の予防法について、具体的な方法を紹介します。

紫外線が弱い時間帯に散歩

紫外線を浴び続けることで白内障を発症する確率は上がってしまいます。紫外線が強い日中の散歩をできるだけ避け、比較的紫外線が弱い朝や夕方に散歩に出かけることが効果的です。

生活時間の関係で日中にしか散歩する時間がとれないご家庭や、日照時間の長い季節などは、犬用のサングラスを着用させるのも方法の一つです。

市販の目薬で犬の白内障予防

「Nアセテル-カルノシン」という複合アミノ酸の成分は、目の細胞の酸化を遅らせる効果があると海外で報告されています。日本ではまだ認可が下りていませんが、ネットを通じて海外から取り寄せることも可能です。

白内障予防に使われるシーナックとキャンC

Nアセテル-カルノシン成分を含んだ市販目薬には、「シーナック」や「キャンC」があります。シーナックの薬価の目安は10mlで2,800円キャンCの薬価の目安は10mLで6,800円です。

キャンCやシーナックを用いて白内障の予防や治療を行っているワンちゃんのブログもいくつか見ることができます。

カリーユニの有効性には疑問

人間の老眼治療に用いられる目薬に「カリーユニ」と呼ばれるものがあります。白内障を発症したワンちゃんにカリーユニを用いた体験談を見かけますが、犬の白内障に対するカリーユニの効果は科学的には実証されていないようです。

白内障予防に効果的な栄養素

先ほど紹介した目薬はやや高価で、日本で認可が下りていないため市販のものを入手するのもやや手間がかかります。白内障予防に効果的な栄養素は、日々の食生活を少し変えるだけで簡単に摂取できるので、その方法を紹介していきます。

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用があるビタミンで、細胞の酸化ストレスに対抗する抗酸化成分が不足すると、細胞の老化が進んでしまいます。

ビタミンCは、サツマイモやジャガイモ、かんきつ類に多く含まれます。成犬が1日に摂取すべきビタミンCの推奨量は、以下の通りです。

サイズ必要量 / mg
小型犬500
中型犬1500
大型犬3000

人間と異なり、犬は体内でビタミンCを合成することができますが、最大でも1日60mgまでしか合成できません。不足する分は、エサやおやつから摂取する必要があります。

ビタミンE

ビタミンEもビタミンC同様に、抗酸化作用のある成分です。ビタミンEは、カボチャやナッツ類、鮭に多く含まれます。成犬が1日に摂取すべきビタミンEの推奨量は、7.5mg と言われています。

不足しがちなビタミンはおやつで補おう!

毎日の買い置きのドッグフードはワンちゃんも飽きてしまいますし、ビタミンCやEが不足してしまう日もあります。そんなときは、不足するビタミンをおやつで補うのも一つの方法です。

ビタミンCが取れるサツマイモのおやつも紹介しているので、よかったらこちらの記事もご覧ください!

柴犬におすすめのおやつ7選と上手な与え方、タイミングや回数について

2018.09.14

ルテイン

ルテインは目の健康維持に欠かせない抗酸化成分で、白内障や緑内障や黄斑変性症といった目の病気への予防効果を持つ成分です。

ルテインは犬の目の網膜に存在する成分ですが、加齢とともに失われていくため、シニア期に入ったワンちゃんは意識的に摂取しておきたい成分です。植物に多く含まれる成分ですが、日常のエサやおやつだけでは必要量を摂取するのは難しいです。

ルテインを補えるフード・サプリ

普段食べているエサやおやつに加えるだけで手軽にルテインを補える商品が、「ぐーぐースープ 瞳ケア」です。多くの犬が好むカツオベースのスープで、15g の袋が5本入りで数百円と、リーズナブルに入手できます。

「ぐーぐースープ」シリーズは、イオン系列などのペットショップで取り扱われています。楽天やAmazonでは、本体価格よりも送料が高ついてしまうことがあります。

眼病予防に必要な成分を補うなら、サプリもおすすめです。

「トーラス クッキリ 75粒入り」サプリでは、ルテインはもちろん、アントシアニンなどの成分も手軽に補うことができ、一粒当たりのコスパが高い点がメリットです。

高額な犬の手術・治療に備える保険

ペットの室内飼いの普及やドッグフードの改善により、ワンちゃんも長寿化しています。

ワンちゃんが長寿化・高齢化するにあたり、白内障など様々な病気のリスクが高まり、数十万円規模の治療費や手術費用が発生することもあります。

月々1,000円程度の掛け金で、手術費用や治療費が年間100万円を限度に保障されるペットの保険プランもあります。ワンちゃんと長く楽しく暮らしていく上で、ペット保険への加入も検討しておきたいところです。

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