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おでぶでもふもふな柴もかわいいけれど。
柴犬を飼っている人ならよくお分かりいただけると思いますが、柴はとても触り心地がいいですよね。なでなでするときのあのもふもふ感、特に冬毛のときはもふもふ感が倍増して触るのがやめられなくなります。
あと、ソファやベッドで寝そべっているときにもちっとなる柴犬のほっぺた。スマートで凛とした洋犬も魅力ですが、柴犬には柴犬にしかない愛嬌がありますよね。
実はその柴犬のもふもふ、その正体は「皮下脂肪」。柴犬はほっそりとしているよりも、ちょっと丸っこい方がかわいい気もします。けれども健康でたくさん一緒にいることを考えたら、肥満気味の柴犬にはちょっと注意が必要です。
柴犬の肥満の原因は、カロリー過剰
ヒトも犬も同様、太ってしまう原因は至ってシンプル。それは、「使われなかったエネルギーが体内に蓄積してしまう」から。過剰に摂取された3大栄養素は、肝臓で「グリコーゲン」という物質に変換され、細胞に蓄えられます。これが、柴犬のぷにぷになお肉の正体です。
エサとおやつの食べ過ぎによるカロリー過多、あるいは運動不足による消費カロリーが少ない状態が続くと、だんだん太ってしまうのは簡単に想像がつきます。
それに加えて、年齢による基礎代謝の減少は意外に見落とされがちです。年とともに代謝が落ち、消費カロリーが少なくなっていってしまいます。日々与えているエサやおやつの量が、活動量や年齢にに見合っているかどうか、一度見直しておきたいところです。
また、去勢した後に体重が増えてしまうこともよくあります。
肥満犬の現状
肥満犬の意外な割合
明治大学農学部の纐纈(こけつ) 雄三教授らが全国の動物病院を調査した研究によると(2016年発表)、ペットとして飼われている犬の体型の割合が
やせ型:4 %
理想体型:41 %
肥満気味:40 %
肥満:15 %
(端数は四捨五入)
ということが分かりました。なんと、ペットとして飼われている半数以上の犬が太り気味なのです。
日本は犬の肥満大国
同様の調査が、アメリカ・中国・オーストラリア・イギリスでも行われました。なんと、肥満気味と肥満の犬の割合が半数を超えているのは、これらの中で日本だけなのです。
柴犬の肥満は放っておくと万病のもと
一般的な柴犬は10 kg前後、豆柴になるとその半分の5 kg 位の体重。一方で、成人男性は70 kg 前後の体重です。人間なら、体調や食事の変化で1日に1 kg 程度体重が変化するのはよくあること。けれども、ワンちゃんが人間の体重の 7分の1以下であることを考えると、500 g でさえも、ワンコにとっては大きな変化です。
同じ体重ぶんだけ「太った」というにしても、人間と犬ではその重大さ大きくが違うのです。 「最近抱っこした時にちょっと重くなった」「うちの子、さいきん少しふっくらした」という印象は、肥満に大きく近づいているサインかもしれません。
関節や足腰に負担 → 運動量が減るというスパイラル
肥満で重くなった体は、犬の足腰に大きな負担になります。肥満気味のシニア柴犬が関節炎や関節痛を抱えていることは珍しくありません。ヘルニアなどの関節トラブルだって起こります。
足腰に痛みを抱えていると、お散歩を嫌がる仕草を見せたり、散歩中の足取りが心もとなくなってしまいます。お散歩は飼い主さんの気分転換の時間でもありますから、ワンちゃんには出来る限り元気に歩いてほしいですよね。
関節トラブルは、運動不足を助長してしまいます。活動量の減少でエサの量が変わらないと、さらに肥満が進んでしまい、さらに足腰に負担がかかり、運動量が減少し、足の筋肉も弱ってしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。活動量が減少して外に出る機会が少なくなると、認知症のリスクも高まってしまいます。
過食続きは糖尿病のリスクに
日々の食生活が過食気味な状態が続くと、糖尿病のリスクがあがってしまうのは人間もワンちゃんも同じです。糖尿病を発症すると、内臓疾患や白内障など、健康な日常生活に大きく影響する合併症を併発してしまいます。
肥満体型は心臓に負担をかける
過食が続いて肥満になってしまうと、高血圧気味となり心臓病のリスクが高くなってしまいます。 柴犬は特に「僧帽弁閉鎖不全」という心臓病に注意が必要です。僧房弁閉鎖不全にかかると日々の運動が制限されます。さらに、完治が難しく、薬や通院で症状を緩和しながら一生向き合っていくことになります。
見て触って簡単チェック、柴犬の理想体型と肥満
動物病院には専用の体重計も体脂肪率計も備えられていることも多く、獣医師さんに肥満かどうか判断してもらうことができます。
ここでは、動物病院に行くのはちょっと大変という人のために、自宅で簡単にできる柴犬の肥満のチェック法を紹介します。(ここでは、 BCS = BodyConditionScore という指標に基づいて紹介します )
やせ形の柴犬の特徴
- 肋骨や背骨の概形が外から見て分かる
- 横から見たお腹が、後ろ脚にむかって急激にに上がっていく形
- 上から見ると、骨盤部分(後ろ脚の付け根)がはっきりとくびれている
理想体型の柴犬の特徴
- 肋骨の形は外から見えないが、肌の上から容易に触ることができる
- 横から見たお腹が、後ろ脚にむかってなだらかに上がっていく形
- 上から見ると、骨盤部分に少しくびれがある
軽い肥満の柴犬の特徴
- 肌の上から肋骨にかろうじて触わることができる
- 横から見たお腹の形が、地面と平行に近い
- 骨盤部分のくびれがほとんどない
要注意!肥満の柴犬の特徴
- 肌の上から肋骨を触るのが簡単でない
- 横から見たら、おなかが垂れている
- 腰のくびれがない
柴犬の適正体重と肥満の体重目安
柴犬の適正体重は10kg前後
柴犬の体格は、遺伝や個性によって個体差があり、個別の体格ごとの厳密な適正体重を求めるのは少しややこしいです。
一般的には、柴犬の適正体重は オスが 9 キロ から 11キロ、メスが 7キロ から 9 キロ とされています。犬は全般的に、メスよりもオスの体の方がやや大きく育ちます。
柴犬の肥満の体重目安
理想体重を超えていても、オーバーした体重が 理想体重の6 %以内なら標準体重とされています。軽度の肥満は、理想体重の7% ~ 22 % オーバー、それ以上が肥満ということになっています。
柴犬の理想体重には幅があるので、それぞれの理想体重の範囲の中央の値を基準として考えましょう。
オス柴犬の基準を10 kg として考えたとき、10.6 kg を超えると肥満気味、12.2 kg を超えていると肥満という計算になります。
メスの8 kg を基準とすると、8.5 kg を超えると肥満気味、9.8 kg を超えると肥満という計算になります。
それぞれの柴犬の体格に応じて基準は上下しますが、一つの基準として考えていただければ幸いです。
豆柴の理想体重と肥満ライン
豆柴はあくまでも柴犬の一種であり、正式な犬種ではありません。サイズの小さめな柴犬を交配させていった結果、皆さんがご存知のような豆柴犬が広まっていきました。
豆柴のブリーダーの間で一つの基準となっている理想体重は、オスは5 ~ 6 kg、メスは4 ~ 5 kg です。普通の柴犬のほぼ半分の体重ですね。
オス豆柴の基準を6 kgとして考えると、6.4 kg を超えると肥満気味、7.3 kg を超えていると肥満 になります。
メス豆柴の基準を5 kg として考えると、5.3 kg を超えると肥満気味、6.1 kg を超えていると肥満 になります。
体重が小さい分、肥満の基準がシビアになるります。そのうえ、体が小さい分、少しの肥満が他の犬以上に大きな体の負担になってしまうという見方をすることもできます。
犬の体重を測る方法と、チェックする頻度
ワンちゃんを抱っこして家庭用の体重計に乗れば、抱っこしていないときの体重の差からワンちゃんの体重を求めることができます。
ダイエット中の人なら自分の体重を毎日測りたくなるところですが、ワンちゃんの体重測定は週に1回程度で十分です。機嫌がいいときを見計らって「連行」してあげて下さい。
秋・冬は自然に体重が増えるけど食生活に注意
柴犬が冬毛に生え変わる頃は、たくさんのエネルギーが必要となるので普段よりも食欲が多くなります。また、秋や冬には、寒さに備えて体が自然と脂肪を蓄えようとするので、体重が普段より多めになります。
冬や秋に体重が少し増えるのは自然なことなのであまり気にしすぎる必要はありませんが、それよりも気にするべきは食生活。寒くなるとどうしても、動物は活動量が少なくなってしまいます。冬毛への換毛がほぼ終わったにも関わらず、必要量に見合っていないエサをあげていたら、どんどん太っていってしまいます。
日々与えているエサの量が必要カロリー量をオーバーしていないか、週に1回の体重測定を通して確認してあげて下さいね。
正確な肥満の判定には、体脂肪率測定が必要
先ほど、肥満の目安になる体重をお伝えしましたが、肥満かどうかを厳密に判定するには体脂肪率の測定が必要になります。ちなみに、標準的な犬の体脂肪率は20% 前後。15%前後だとやせ型で、肥満気味の犬は30%前後、肥満の犬は35%以上の体脂肪率となります。
動物用の体脂肪測定器は動物病院に置いてあることが多く、普通は家庭に導入するようなものではありありません。「見て触って肥満を簡単チェック」と「肥満の体重目安」の両方に当てはまっているなら、ぜひ一度、動物病院の先生に相談してみることをおすすめします。
ダイエット・肥満予防には適度な運動を!
ワンちゃんの肥満を改善する方法は2つ。
1つ目は、食生活の改善です。余分に摂り過ぎたカロリーが体に蓄積していきますから、カロリーを抑えながら満腹感を持続させる工夫が必要です。
2つ目は、何といっても運動。食事制限には限界がありますし、過度な制限はワンちゃんのストレスにもつながってしまいます。やっぱり大切なのは、日ごろの運動。運動不足の解消法と運動でのダイエット方法は、こちらの記事をご覧ください。