柴犬はなんとも言えない素朴な風貌と家族へのまっすぐな愛情から、多くのファンを持っています。
でも実は、柴犬は数ある犬種の中でもトップレベルに食へのこだわりが強いという特徴もあります。
柴犬だからこその食へのこだわりを理解し、健康第一に考えた食生活を送らせてあげましょう。
目次
柴犬に与える食事はどんな製品、素材がいい?
柴犬のイメージと言えば
・屋外飼育が可能
・寒さに強い
・忍耐力がある
などを思い浮かべるでしょう。まさに数十年前の日本ながらの姿そのものです。でも今や柴犬も歴とした室内飼育すべき犬種です。
昔ながらの風貌そのものではあるものの、必ずしも他犬や洋犬に比べ
・体が丈夫
・アレルギーとは無縁
・なんでも食べる
・好き嫌いがない
というわけではありません。
逆に柴犬は元来の「頑固」な気質から食へのこだわりが強い上に、デリケートな肌質の犬種でもあります。
誤ったイメージを捨て、柴犬にあった正しい食生活について理解してあげましょう。
柴犬の為の食事は
・良質な動物性タンパク質が必要量配合されていること
・多量の穀物の配合がないこと
・動物性油脂の配合がないこと
・塩の配合がないこと
・健康に有害な保存料の配合がないこと
・着色料の配合がないこと
を基準に考えてゆきます。
体が丈夫という誤ったイメージを持たれることが多く、つい安価なドッグフードを選択しがちですが、実はとてもデリケートは肌質を持ち、加齢とともに皮膚トラブルの増加が目立つ犬種でもあるので、若く健康なうちから食生活は「良質」であること、「安全」であることを重視しましょう。
柴犬の食べ物の好き嫌い。味はわかるの?
柴犬は食へのこだわりがとても強く、中にはあまりに過度な絶食から体調を崩すこともあります。
・お腹が空けばいつかは食べるという楽観的な考え
・しつけのためにドッグフードを切り替えないという手法
・歯垢や歯石予防のためにウエットフードを与えないという姿勢
犬の食事管理には様々な手法がありますが、柴犬の頑固な気質を考えると、これらの対処法が必ずしもよい結果を招くものではありません。飼い主が強気な姿勢に出ることで、お互いが意地の張り合いになるばかりで、ますます絶食が長引くこともあります。
柴犬に味がわかるの?美味しい?まずい?がわかる?
犬には人間と同じような「味覚」がありません。食べ物のえり好みの基準は人間とは違います。
でも犬には犬の基準があり、食べ物を見極め、食べるかどうかの判断をしています。
例えば
・動物性油脂の強い香り
・人工的な保存料や香料、着色料の臭い
・これまでに食べたことのない臭い
には本能的な警戒心を感じ、あえて口にしないということもあります。人工的な成分の香りは犬には薬剤にも似た不快感をもたらすのでしょう。
また中には数日、数週間は喜び食べていたものの、徐々に食欲が減退し始めた、まるで口にしなくなったというケースもあるでしょう。
これは最初の数回はその目新しさや強い風味に惹かれ、条件反射的に食べていたものの、毎日続くことで徐々に胸やけや消化不良、体質との不一致を感じていることもあります。
人間でも目新しいファーストフードやジャンクフードに惹かれ、頻繁に食べていたものの、次第に関心が薄れ、気が付けばまるで口にしなくなったということもあるでしょう。
ただなぜ愛犬が
・なぜ食べなくなってしまったのか?
・どの成分が原因なのか?
・どう対処すればいいのか?
を明確に見出すことが出来ないので、食事の管理は飼い主の手探り状態が続きます。
美味しい事、喜んで食べてくれる事が必ずしも健康にいい、安全という事ではないという点だけはしっかりと認識しておきましょう。
柴犬が好きな食べ物って?
柴犬に限らず犬の好物といえば「動物性タンパク質」です。具体的には肉や魚です。
犬は元来
・雑食性
・腐食性
とという食性をもっています。雑食性であることから、日々の食事は肉や魚だけでなく米や野菜も喜んで食べてくれます。一昔前の日本では柴犬を屋外で飼育し、飼い主の残飯を食事として与えていた事からもこの食性が理解出来るでしょう。
また犬は「腐食性」という特徴もあります。目の前にある肉や魚、食べ物がたとえ腐っていたとしても、犬は躊躇することなく食べるからです。もちろんそのような物を食べても体調不良につながらないことも犬の特徴です。
犬の脳内には人間のような「満腹」を感じる機能がありません。そのため犬は常に「空腹」だと脳が錯覚を起こさせています。たとえ山盛りの食事をした直後でも目の前に肉や魚があれば勢いよく食べてしまうのです。
このような犬の食性を理解すると、本来の犬には
・好き嫌いがない
・食べ物を食べ残すことがない
・常に勢いよく食べる
事が理解出来るでしょう。
しかし犬が本来の食性に逆らい
・好き嫌いをする
・食べ残す
・食欲にムラがある
という事は人間が感じる以上に過酷な状態にあると考えてあげましょう。
柴犬の「好きな食べ物」を的確に見つけ出すことはとても難しい問題です。
でも「与えるべきではない食べ物」を見つけることなら簡単にできます。犬の食性は野生生活時代から受け継がれるものです。この食性に合致しない素材、成分は犬に与えるべきではありません。
具体的には下記のようなものです。
・大量の穀物
・大量の油脂
・大量の肉副産物
・未消化の状態の穀物
・保存料
・添加物
・着色料
犬が野生環境下で生活をしていた当時を考えてあげましょう。
1頭の獲物を捕まえた時、摂取する栄養素は1頭分の
・肉や脂肪
・骨や皮、内臓
・胃腸内に残留した穀物
です。太い骨や被毛、毛などは食べずに残すこともあります。群れで行動している場合は必ずしも独り占めはできず、自分の取り分は1頭分に満たないこともあります。
鶏や草食動物を捕獲した時は、内臓内に残る消化途中の穀類もえり好みすることなく、食べつくします。
でも製品化されたドッグフードはどうでしょうか?
・肉が少ない
・トウモロコシや大豆での量増し
・動物性油脂でのコーティングで肉に似た風味付け
・副産物や穀物は粉砕して配合
・保存料、着色料の配合
となっています。それぞれの素材の配合率が人間目線で加工されているので、犬にとってはとてもアンバランスな内容になっています。
わずか一口分の肉と山盛りの穀物という組み合わせは自然界にはありえないない配合率です。その上、たとえ雑食性の犬であっても目の前にあるトウモロコシや大豆を進んで食べることもありません。
柴犬の健康を第一に考えるうえでは本来の食性により近い内容の食事、食べ物、オヤツを用意してあげましょう。
生後1年未満の子犬期の食事
柴犬にとってこの時期の食事はその後成長、健康を左右するとても重要なものです。安易に価格だけで製品を選ばずにしっかりと「品質」を見極めてあげましょう。
この時期の食事は大きく3つに分類できます。
- 授乳期(母犬の母乳で育ちます)
- 離乳期(母犬の母乳と市販の食べ物との混合期間です)
- 一般食期(完全に離乳し、子犬用の高栄養な食事をする期間です)
ペットショップに生後60日未満で並ぶ子犬たちは上記の②にあたります。すでに離乳が済み、市販のドッグフードを自力で食べることの出来る段階です。
でもこの時期は精神的な成長が追い付いていないことが多く、環境の変化によるダメージが重なると深刻な絶食に陥ることもあるので注意が必要です。
環境が変った時はできる限り不安を抱かせないためにも、それまでに食べなれている食事をそのまま引き継いであげましょう。
もしそれまでと同じ食べ物を用意しても食べない、関心を示さない場合はスーパー等で販売されている
・肉
・魚
・野菜
・白米
などを茹で与えましょう。人間向けのような味付けは必要ありません。茹でることで風味が増し、食欲を刺激する効果もあります。市販品の添加物の臭いや過剰な脂肪分は胸やけや消化不良につながることが多いので、人間用のシンプルな素材そのままで与える方が安心です。
魚を与える場合、鮭は過熱することで脂肪分が溶け、風味が増す食材です。市販のドッグフードの原材料としても人気のある食材です。
食欲が不安定な時期の解決策として「焼鮭とおかゆ」という組み合わせも子犬には好評です。
食欲が改善され始めたら、徐々に市販品に切り替えてゆきましょう。
子犬の身体的な成長は生後6~8か月ほどでほぼ完了します。しかし生後一年までは子犬用の高栄養な製品を与えましょう。
体の成長は骨格の成長、筋肉の成長、被毛の成長と続きます。段階を追って約一年をかけてゆっくりと進みます。この時期、まだまだ内臓機能は未発達で、一度に大量の食事をすることが出来ず、少量ずつ、複数回に分けて食事をしてゆきます。そのため少量でも十分な栄養を摂取できるように子犬専用製品を用いましょう。
この時期、中にはアレルギーを発症するケースもあります。アレルギーは一旦発症すると、完治させる方法はなく、食事療法などで原因物質を除去する、摂取させないことで対処します。
かゆみや脱毛、下痢、嘔吐など気になる症状がある場合は早急に動物病院を受診しましょう。
1~6歳の成犬期の食事
生後一年を過ぎると、身体的な成長はなく、健康管理の為の体重、体調の維持期間を迎えます。
生後一年を目途に動物病院を受診し、愛犬の骨格から算出した「適正体重」を確認しましょう。
同じ柴犬でも体のサイズには個体差が大きく、それぞれの骨格にあった適正値があります。今後はこの体重を目安に肥満予防に努めます。
日々の食事は「良質な動物性タンパク質」の配合に重点を置き選びます。
・価格は安いものの肉や魚の配合がない製品
・嗜好性は高いものの、添加物が多い製品
・高額すぎて継続して与えることが難しい製品
は選択してはいけません。
犬にとって「食事が切り替わる」ということは想像以上のストレスがあります。日々の食事はベースとなるフードを決め、むやみに切り替えることの無いよう心掛けてあげましょう。
たまには贅沢をさせてあげたい、食べ飽き防止に努めたいという場合は、ベースとなるフードにトッピングをすると手軽にアレンジをすることが出来ます。
アレルギーや持病の悪化など市販品が体質に合わない場合は、手作り食も検討してゆきましょう。
6~10歳以上の老犬期の食事
柴犬の平均寿命は10~13年ほどです。中には15歳を超える犬も増えています。生活環境が屋外から屋内に変化したこと、医療技術が向上したことで以前に比べ格段に寿命は延びています。
しかし一方で高齢ならではの病気の発症も増え
・皮膚トラブル
・内臓疾患
・ガン
・白内障や緑内障
・痴呆
などが挙げられます。
犬は6歳を目途にシニアと呼ばれる期間を迎えます。中にはこの年齢を越えても、まだまだ元気一杯で、食欲も旺盛、目立った不調もないということもあります。しかし外見的な健康とは異なり、体の内面では老化が進みつつあります。
日々の食事は
・給与量を見直す
・消化吸収に負担がかかりにくい製品、食事に切り替える
・脂肪分の過剰摂取を防ぐ
という点を重視してあげましょう。
ドライフードなど硬いものを食べることが難しい場合は
・ドライフードをふやかし与える
・手作り食を与える
・添加物不使用のウエットフードを与える
という方法がおすすめです。
具体的な食材では
・ひき肉
・ササミ
・赤みの魚
・葉物野菜
などがおすすめです。根菜類は実は糖分が高いので肥満予防の観点からは避けてあげましょう。
食欲が低下気味の場合は、脂肪分の多い肉類や甘味のある野菜などもおすすめです。
高齢になってからの食生活はそれまでの生活環境、食生活、体質が大きく影響します。全ての柴犬に共通して与えることの出来る万能な「食事」「食材」はありません。
愛犬の日々の食欲や便の状態を気にかけ、微調整をしてあげましょう。
また高齢になると筋力が低下し、排便が困難になることもあります。ドライフードは慢性的な摂取水分量不足を起こしやすく、便秘や新陳代謝の低下を招きます。
食事は「水分」摂取にも着目し、スープをかける、ふやかすという工夫も加えてあげましょう。
まとめ
柴犬はその外見的なイメージとは異なり、実はデリケートな体質をもっている犬種です。日々の食事は本来の食性を正しく理解し、健康第一に取り組んであげましょう。気難しい一面もありますが、叱らず、諦めずに気長に付き合ってあげましょう。
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