柴犬と聞くと誰もが知る犬種ですが、ではその歴史は?性格は?一緒に暮らすうえでのコツは?と聞かれると、曖昧な答えしか浮かばないという方も多いでしょう。
とても身近な存在すぎて、あえて意識をしてこなかったのではないでしょうか?
柴犬は洋犬種に比べ、目立った特徴がありません。だからこそ幅広い世代に愛され、どんな家庭にも馴染むことが出来る犬種です。
これから柴犬と暮らしたいと考えている方は、ぜひ柴犬の事をもっと詳しく知り、お互いの距離を縮めてゆきましょう。
目次
柴犬ってそもそも何?どこからきたの?
柴犬とは日本固有の犬種である「日本犬」の中の1種です。日本犬と言えば他にも秋田犬や土佐犬といった大柄な犬種が多く、柴犬は最も小柄な品種です。
柴犬は日本に古くから生息する犬が祖先となっていることから、明確な出生地域の限定はされておらず、諸説あります。
日本犬の多くが元来狩猟に同行する役目を担い、熊やイノシシなどの動物とも対等に渡り合う事が出来る存在として重宝されていました。
また屋外で飼育することが当然とする文化の中で、雪深い地域でも厳しい寒さに耐えうるだけの密集した被毛を持つことも特徴です。
ただ小柄な柴犬は当然狩猟の同行やその後の闘犬という役目には当然不向きです。柴犬の役目は玄関先で暮らし、番犬をすることです。
飼い主へ大変忠実な反面、飼い主以外には一切懐かない上に、強い警戒心を見せる気質が強化され、長年にわたってこの役目を担っていました。
しかしこの30年ほどの間に、柴犬の生活環境はこれまでの屋外飼育から屋内飼育へと大きく変わりました。都心部ではマンションでの飼育も急増しています。
このような生活環境の変化は、柴犬にこれまでの番犬としての気質を強く持つことよりも、誰にでも友好的で、他犬と社交的に付き合う事の出来る気質を求めるようになりました。
体形もさらに小型化の傾向が進み、本来のサイズより3~5㎏ほど小柄になったサイズが現在の主流です。
また素朴な外見と手ごろなサイズ、忠実な性格が人気を集め、近年では海外での飼育も増加しています。
柴犬の性格ってどんな性格?
柴犬の性格は「武士道」を体現しているとも言われることがあります。飼い主への忠誠心が大変強く、しつけにも忠実です。
しかし頑固な一面もあり、その場の雰囲気で曖昧に物事を受け流したり、ごまかすことを嫌います。自分のこだわりによっては妥協することが出来ず、たとえ飼い主が相手であっても強気な姿勢に出ることも多々あります。
飼い主以外の人間とは一定の距離を置く傾向があるものの、子犬のころから意識して触れ合いを経験させることで、社交的な性格に育つこともあります。
他犬へは基本的に関心が薄い場合が多く、あえて触れあい、遊ぶ事を好みません。
性別によっても性格に差異があります。オスは他犬や他人へ強気な一面を見せる反面で、家族には大変甘えた態度を見せます。屋外と家庭内とではまるで違った態度で暮らします。
また何歳になっても甘えん坊で遊び好きな面があり、子供の遊び相手にも向いています。
一方のメスはオスに比べ大人しいと言われることが多々あります。ただメスの大人しいとは、落ち着いている、遊びに無関心、はしゃぐことが少ないとも言いかえることも出来ます。
メスは子犬のうちは元気いっぱいで甘えん坊な面も見せるものの、成長と共に次第に母性が強く表れるようになり、オスに比べ精神的に大人びた雰囲気になります。
オスメスの選択は家族構成やこれからの生活環境などを踏まえ、しっかりと検討しましょう。
また中には毛色による性格の違いがあるという説もあります。柴犬の場合
赤(茶色)・・・甘えん坊
黒・・・・・気が強い
白・・・・おとなしい
と言われます。この毛色による区分には明確な根拠はありませんが、長年の経験をもとに言い伝えられています。
赤(茶色)は最も頭数が多く、ペットとしても人気の毛色です。そのためより家庭生活に馴染み易い性格に改良されているためとも言われています。
黒は洋犬の場合、ドーベルマンやピンシャーなどの闘犬種に多くみられる毛色です。柴犬の黒も輩出の過程で同種の遺伝子を持つと考えられていることから、気が強いと言われることがあります。
しかし日本犬は日本固有の犬種であることから、複数の犬種を掛け合わせ改良を重ねている洋犬種とは別の進化をたどっているとも言われ、必ずしも黒は気質が強い、勝気とは言えません。
白は遺伝学上、劣性遺伝とも言われることから、頭数が少なく、気質もおとなしい傾向があります。ただ大人しさが強く出てしまい臆病、神経質な性格と言われることもあります。
特にメスの白はおとなしいものの、苦手意識を持つ相手、音、状況には過剰な反応を見せてしまうこともあります。
柴犬の子犬を迎えよう
子犬を迎える際は、子犬が新しい環境にスムーズに馴染むことが出来るように事前準備を万全に済ませておきましょう。
子犬を家に連れ帰る前に
・サークル
・トイレ
・食器
の設置を済ませておきます。設置場所は安易に変更すると、子犬を戸惑わせてしまうことになるので、当面は変更せずに済むよう家族で話し合い場所を決めましょう。
生後間もない子犬は環境の変化が大きなストレスになります。ペットショップやブリーダーの元では食欲も安定し、排便の異常がない場合でも新しい環境では急変をすることもあります。
万が一の備え、自宅近隣で動物病院を探しておきましょう。
動物病院を選ぶ際は
・診療時間(土日、祝日、夜間の対応可否を確認する)
・駐車場の有無
・待合室の広さ(十分な待機スペースがあるか)
・クチコミ
などを確認しましょう。ペットホテルやトリミング施設を併設していると、今後の生活で活用出来、安心です。
子犬を引き取る際は
子犬は大変デリケートで、必ずしも「健康」「元気」とは限りません。些細なことで体調を崩すものです。
ペットショップやブリーダーから子犬を受け取る際は下記の項目を確認しましょう。
・直近のワクチン接種状況、摂取証明書
・これまでの病歴、持病の有無、検便結果
・これまでに食べていたフードと分量、回数
可能であれば子犬が使っていたタオルやオモチャも合わせて受け取ってあげると、安心させることが出来ます。
家に到着後は
子犬にとって身の回りの全てが未体験で未知の世界です。
家族は愛情をもって接しているつもりでも子犬は極度の緊張状態に陥ってしまいます。
・移動の為に車の乗ること
・家族の顔や手の感触、臭い
・フローリングの感触
・室温
・生活音
・周りの景色
多大な情報があふれ、子犬は瞬時にパニックに陥ります。自宅に到着してからは、あらかじめ用意してあったサークルに入れ、周囲をバスタオルで多い家族の目線を遮った状態で数時間、昼寝をさせてあげましょう。
子犬が目を覚まし、声を上げる、歩き出すまでは起こす、抱き上げる、写真を撮ることは控えます。
今後も基本的には生活のリズムは子犬メインで考えます。睡眠は決して邪魔することの無いように大切に考えてあげましょう。
当面は食事の用意とトイレの片づけのみに徹するという姿勢で接しましょう。
柴犬は成長後、体重が10~15㎏ほどに成長します。大人の女性では抱き上げるのは難しいと感じることもあるでしょう。
実際に家族に迎える前に、ドッグランなどへ足を運び、成長後の実際のサイズを確認しておくと目安になります。外見のイメージと抱き上げた時の印象に差異があることも理解しておきましょう。
豆柴と呼ばれる犬種は体重が5~10㎏と小柄であることで注目を集めていますが、国内唯一の血統証発行団体であるJKCでは豆柴を正式な犬種として認定していません。
成長後に必ずしも小柄になるという確約ではないことは理解したうえで家族に迎えましょう。
柴犬の飼い方
柴犬は飼い主に大変忠実な反面、頑固でこだわりが強いという面があります。しつけは柴犬の特性をしっかりと理解し取り組みましょう。
〇ケージ
柴犬は元来の番犬としての本能が強く働きがちです。日々の生活には必ずケージを活用し、愛犬のパーソナルスペースの確保をしてあげましょう。
留守番中はもちろん来客や掃除機を利用する時、家族の食事中などこまめにケージを活用する習慣をつけると、いたずらや無駄吠え対策に効果的です。
〇トイレ
トイレは室内トイレシーツ派、完全屋外派とで大きくしつけ方が変ります。オスの場合、縄張り意識が強く表れることがあるので、室内でのマーキング予防の意味もかねて完全屋外派が主流です。
子犬期のワクチン接種が完了するまではケージ内もしくはその付近にトイレトレーを設置し場所を認識させます。子犬のしつけにはしつけ専用にアンモニア臭付きのトイレシーツやしつけ用スプレーを活用するとスムーズです。
ワクチン接種が完了し散歩を開始して以降、完全屋外派でしつける場合は、室内のトイレトレーを撤去し、室内での排泄を禁止します。
〇無駄吠え
柴犬は元来の警戒心の強さ、防衛本能の強さから無駄吠えが目立つこともあります。無駄吠えは生後一年以降、身体的な成長が終わるころから顕著になります。
体が未発達な子犬の時期は自分の非力さを実感しているので、攻撃的な態度は見せません。この点を誤解し、子犬の時期に適切なしつけ、社会化体験を怠ってしまうと、成長後の無駄吠えに悩まされることになります。
子犬は生後半年までを目途に積極的に他人、他犬と触れ合いをさせましょう。合わせて毎日の散歩ルートをこまめに変更したり、あえて時間をずらすことも効果的です。
ドッグランやペットショップ、ドッグカフェにも積極的に足を運びましょう。様々な経験を積み重ねることで、社会には危険がない事、生活音への耐性が出来、無駄吠え予防に効果を出すことが出来ます。
〇威嚇、噛みつき
爪を切ろうとした時、顔に触れようとした時、リードの着脱をしようとした時・・・不意に甘噛みをしたり、瞬時に身をそらしたりと嫌がる素振りを見せることがあります。
子犬の時点ではさほど気にすることもない行動ですが、成長し力が強くなり、噛みつくことで負傷する危険もある状況では決して見過ごすことの出来ない問題行動になります。
柴犬の中には条件反射的に、自身の急所を守ろうとする子犬がいます。
・体の末端部分
・頭部
・頸部
は犬の急所です。このような条件反射は子犬の頃にスキンシップを意識して増やし、警戒心を払拭してあげましょう。
爪切りは生涯を通じて必要になるお手入れです。頭部や頸部は日ごろから触れる機会が多い上に、トリミングショップや動物病院では必ず他人に触れられる部位です。
お互いが安全で安心して触れ合うことが出来るように根気強く取り組んであげましょう。ただし決して柴犬を叱る、押さえつける、強制するのではなく、リラックスした雰囲気の中で自然と触れられることに慣らしてゆきましょう。
柴犬は元来、大変忍耐強い気質を持っています。飼い主から叱られたり、叩かれたり、強制されることも最初のうちはしぶしぶでも服従する姿勢を見せます。しかしあまりにも度重なると、ある時不満が爆発し、激しい抵抗や攻撃を見せることがあります。
本来、飼い主に従順で知能が高い犬種ですから、しつけは強制ではなく、褒めること、コミュニケーションを図ることを主軸に取り組みましょう。
柴犬がかかりやすい病気ってあるの?
他犬種に比べ柴犬だけに顕著な病気はありませんが
・食物アレルギー
・皮膚トラブル
・内臓疾患
・ガン
・白内障、緑内障
の発症が比較的多くみられます。食物アレルギーは生後数か月で発症するケースが多く、発症後は激しい痒みに悩まされます。
完治させる方法はありませんが、動物病院で血液検査を受け、アレルギー発症リスクの高い素材を特定すること、あらかじめ除外することはできるので、生後一年以降を目途に血液検査の受診を検討しましょう。
高齢になると皮膚トラブル、内臓疾患、眼病が目立つようになります。日々の生活では年齢にあった安全策を講じ、怪我や事故の予防を心掛けてあげましょう。
15歳前後のなると痴呆症の発症も目立つようになります。痴呆症になると夜泣きや徘徊、過剰防衛などが目立つようになります。ケージや介護用品を活用しストレスを軽減できるよう取り組みましょう。
柴犬の寿命ってどれくらい?
柴犬の平均的な寿命は10~13歳ほどです。中型犬の寿命の平均値です。近年犬の寿命は数十年前の倍近くまで伸びているとも言われています。
・ドッグフードの高品質化
・屋内での生活
・動物医療の発展
等がその理由です。室内で生活をすることは季節の影響を受けることなく快適に過ごすことが出来るという点と体調不良を飼い主が早期に発見出来るというメリットがあります。
同じ柴犬の中でも豆柴や小豆柴と言われる極小サイズの個体は、出生時、授乳期間中の発育不良の可能性もあり得ます。中には10年未満と非常に短命になることもあります。
まとめ
素朴な外見と飾り気のない実直な性格から誰からも愛される柴犬を家族に迎える際は、十分に柴犬の気質、特性を理解しておくと安心です。
柴犬は共に暮らすことで素晴らしいパートナーになってくれる素晴らしい犬種です。
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